あたしは、気づかれる前に逃げるように、その場を立ち去る。
一人で、こんな場所にいるところを見られたら、あまりにも惨めすぎる。
考えてみれば、チビも勝ち組なのだ。
堂々と手を繋いで歩けるような彼氏がいる。
あたしは、一人。
一人ぼっちだ。
………あたしだって…。
…あたしだって、恋愛したい。
羨ましくて、憎らしくて、ムカついて。
あたしは、負け組なんだ………。
人込みを抜けて、神社の石段に腰を下ろした。
…帰ろうかな………。
メインストリートから少し離れたここは、人通りも夜店の数も少ない。
あたしは、一体こんなところで何やってるんだろう。
俯いて、目を閉じた。
短い命を愛しむような、蝉の音。
それに交じって、モモの声が聞こえた気がした。