「あー、別に、いいよー。適当に楽しむからさ。
せっかく仲直りできたんだから、ねっ?」
「本当にゴメンね〜!!
ぜったい今度埋め合わせするから!!ゴメンね!!」
あたしは、適当な返事と愛想笑いをして電話を切った。
こういう美帆の自己中さ、無神経さ、マジで嫌い。
生温い風が吹く。
蒸し暑さ、人々の放つ熱気。
今夜は、熱帯夜かもしれない。
あたしは一人、仕方なく歩きだす。
せっかく浴衣まで着てきたんだし、夏祭りの雰囲気だけでも味わっていこう……。
赤い提灯に照らされて、いくつもの夜店が道端に並ぶ。
金魚すくいやお面、かき氷に群がる大人と子供。
あたしは、それらを眺めながら目的もなく歩いた。
途中、同じクラスのチビとメガネを見かけた。
チビはピンクの浴衣姿で、二人は手を繋いで歩いていた。