うだるような暑さの中で、果たして40分も並んでジェットコースターに乗る事に何の意味があるんだろう、と思い始めていた。
あたしは、溜め息を零す。
志木くんが横にいると、緊張のせいなのか息が詰まる。
なんだか、酷く疲れている気がした。
「エリ?」
「ん?」
美帆に呼ばれて、あたしは顔を上げた。
「今日は良かったね。志木くんとデート。」
「あ、うん。」
心に小さな違和感を感じた。
そう、デートだ。
心待ちにして、楽しみにしていたデートだ。
なのに、どうしたというんだろう。
自分の中に生じる違和感の正体が、さっぱり分からない。
「でも、そっかぁ。
やっぱり、エリは志木くんが好きなのか。」
「え?」
「エリは、もしかして百瀬くんが好きなのかなぁって最近は思ってたの。
百瀬くんといる時のエリって、すごく楽しそうな顔してるから。」
美帆は、ニッコリ笑って言った。
「あたしが、モモを?」
あたしは笑い飛ばした。
「有り得ないよー。」
でも、モモがいたら退屈なだけの40分なんて待ち時間でも楽しかっただろうな、と心のどこか冷静な場所で思っていた。