「モモ?」
不安そうにエリーは、俺を見上げる。
きっと歩きにくいだろうな、そのサンダル。
そうだ……背が低い事も気にしてたからか………。
無理して、頑張って………。
「……ゴメン、分かんねぇわ。
エリーは、いつも可愛いから。」
そう言った自分が、うまく笑えていた自信はない。
冗談っぽく響いてほしかったのに、俺の声は擦れてしまった。
「な、なに言ってんの!?」
エリーは、そう言ったきり俯いていた。
俺は、もう色々と限界で、決まっていたセリフを口にする。
「ってか!みんな、マジごめん!!
俺、急用できたわ!」
「はぁ?なんだ、それ?」
何も知らねぇタッチーは、本気で表情に疑問を浮かべる。
ここで、うまい冗談の一つでも言えたらいいのに、今の俺にそんな余裕はない。
無理やりテンションを上げているだけで精一杯だった。
「悪ィな!4人で楽しんでこいよ!!じゃあな!!」
「オイ!モモっ!!」
タッチーがそう叫んだけど、俺はもう背を向けて駆け出していた。
その時、エリーとすれ違ったけど、俺はエリーを見る事ができなかった。
俯いて、エリーの横を走り抜ける。
瞬間、エリーが“モモ”と呟いた気がしたが、俺は立ち止まらなかった。