二人とも大遅刻だよ、とミホちゃんが叫んだ。
その横で、大方の事に予想がついているタッチーは声を殺して笑っている。
エリーに、志木のせいで遅れた、とでも言ってやりたかったが、かろうじて思い止まった。
「ゴメン、ゴメン。」
代わりにそう言って、エリーに歩み寄る。
でも、俺は足を止めた。
ヒラヒラした水色のワンピース、踵の高いサンダル。
俺は、言葉を失う。
髪だって、頭の上で器用にまとめていて、普段隠されている細い首が露になっていた。
呆然としている俺に、エリーは小声で言った。
「変、かな……?」
心臓だか、心だかが揺れる。
俺は、ぎゅっと手に力を込めた。
全部、志木の為だと思うと悔しくて仕方がない。