「エリーは、笑った方が可愛いよ。
きっと、エリーの笑顔見たら志木だって惚れちまうよ。」
あたしは、苦笑する。
「それは、ないよ。」
可笑しな間ができた。
モモは、ほんの数秒黙ってから口を開いた。
「……好きになるよ。誰だって。」
その言い方が、急に大人びた口調の、声だったから………あたしの心臓はジャンプしたと思う。
けれど、エリーの恋を本気で応援してやるから、と言ったモモの口調は元通りになっていて。
あたしは、自分の内側で起こった些細なものを、気のせいだったと思う事にした。
「あたしも、応援ずるよ。モモの恋も、夢も、叶いまずようにって。」
「………そりゃあ、ありがたいな。」
絞りだすようなモモの声。
でも、その時のあたしは気づかなかった。