二人で撮ったプリクラは仏頂面だったり、爆笑していたり、色々な表情の自分がいて何だか気恥ずかしかった。
モモは、きっと。
きっとっていうか、たぶん絶対。
クラスの人気者なんだろう。
モモの笑顔は、人を引きつけるから。
帰宅して、そんな事を思いながらプリクラを眺めていた。
思わず、思い出し笑い。
モモは、面白い。
時計が午後11時を示して、あたしは毎週土曜日の習慣であるラジオをつけた。
軽快なテンポの音楽と共に、『SATURDAY23s』のタイトルコール。
午前2時までの3時間、HALUがパーソナリティーを務めるラジオ番組は生放送だ。
高校3年生に進級したばかりの4月、HALUにメールを読んでもらったんだっけ。
志木くんと初めて同じクラスになれた事。
嬉しくて、嬉しすぎて、誰かにどうしても聞いてほしかったんだ。
あの時、HALUは言った。
“今という時間は、今しかない。”
“小さな一歩でいい、踏み出してみましょう。”
………あたしは、その小さな一歩を、果たして踏み出せたんだろうか。
ラジオからHALUの最新シングルが流れている。
さっき、あたしがカラオケで歌った曲だ。
こんなに胸を打つ歌詞、心の深いところに触れる歌声なのにブームが過ぎたなんて言われているのは、やっぱり納得がいかない。
携帯電話が鳴ったのは、その時だった。