モモはベンチから立ち上がると、自転車に跨って言った。
「エリー、乗って。」
…………乗って?
「はっ!?」
「エリー、頑張ってんじゃん?
帰りは送ってやるよ。ほら。」
モモは手招きしている。
あたしは戸惑いながら、立ち上がった。
「あ、あたし重いから。いいって。」
「なに遠慮してんだよ。ほらっ。」
あたしの腕を掴んで、モモは自転車の後ろに乗るよう促す。
………まさか、自分の人生で男子と自転車を二人乗りする日が来るとは……。
「じ、自転車潰れても知らないからねっ。」
「なぁに言ってんの。
潰れない、潰れない。」
モモは笑う。
あたしは、どこに掴まればいいのか一瞬悩んだ末に、結局モモの肩に手を置いた。
それを確認するとモモは、落ちるなよ、と言ってペダルを漕ぎ始めた。