前を自転車で走るモモの背中は、やっぱり憎らしい程バランスが取れている。
骨の浮き上がり方も、形も、奇麗だと思ってしまう。
悔しいけど…。
公園を出て河原の道を走りながら、バカみたいに赤い夕焼けが照らすモモの背中を、あたしは見ていた。
………に、しても……しんどい!
体育の授業でさえ、適当にやってるっていうのに!
徐々に自転車との距離が広がっていく。
それに気づいたのか、モモは少しスピードを落として振り返った。
「エリー?」
「……な、に!?」
「目標何キロ落とすんだぁ?」
「…………。」
「エリー?」
……あぁ!!もう!!うっさい!!!
「4キロ!!」
モモは、ペダルを漕いでいた足を止めた。
そうして、笑う。
「だったら、さっさと来なさいヨ!チョイデブーー!!」
なっ!!?アイツっ!マジで!!!
「モモ……マジ殺すーー!!!」
ほとんど全速力で走り始めたあたしを確認すると、モモは再び自転車を漕ぎ始める。
「その調子、その調子、ファイトーー!!」
うっさい!バカ!!!