「エリー!!」



昼休み。

廊下から聞こえたモモの声に、あたしは思わず飲んでいたサイダーをむせた。




他人の教室にズカズカと、何の躊躇いもなく入ってきたモモは、あたしの机までやって来る。


一緒に弁当を食べていた美帆は、唖然としていた。





「エリー!今日、公園で待ってるからな!
ちゃんと動きやすい格好で来いよ!」


あたしは、机に突っ伏してしまいたい気持ちになった。



美帆は小声で、誰?、と聞く。


しかし、それに答えたのはあたしではなく、モモ本人だった。





「はじめまして!
3年1組、百瀬 透!“モモ”って呼んでね〜!」






……ウザい………。





美帆は、自己紹介されてもきょとんとしている。







「しっかし、きったねぇなぁ。」




モモは机の周りを見渡して言った。



そうして、おもむろに隣の席のメガネに言った。




「おい、コレお前のだろ?片付けろよぉ。」


「えっ……あ、あぁ。」






この2ヶ月、思っていても口に出せなかった一言をモモは簡単に言ってのけた。

ごく自然に。





あたしは、そんなモモをやっぱり羨ましいと思ったけど、もう腹は立たなかった。