二人揃って、ずぶ濡れの制服でプールサイドに腰かけているのは、滑稽だと思う。


肌に張りつく制服は、水に沈んだせいで重い。




タオルで髪から滴り落ちる雫を拭いながら、
今日知り合ったばかりの百瀬 透という不可思議な男子と、まるで非日常な状況にいる事が現実らしくなかった。






「おとなしそうな顔してんのに、エリーって意外とキレやすい?」


「……かもしれない。」




百瀬が着ている制服のシャツは肌に張りついていて、その身体の骨格を浮かび上がらせている。



シャープな顎から首筋、鎖骨と伝っていく雫を見た時、あたしはなぜか見てはいけないものを見た気がして目を逸らした。


不覚にも、ドキドキしたのだ。






「カルシウム不足でない?」


「……いいよねぇ、モモは。」


「何が?」





あたしは、プールに落下する赤とオレンジが混ざったような光を裸足で弄びながら言った。



「あたしは、自分が嫌いだから…モモみたいな体型の人は羨ましい。」


「体型?」



よく分からない、といった表情のモモ。


あたしは、大きな溜め息を零した。