最後のホームルーム。
菊りんは鼻水まで垂らして泣いていた。
今どき、生徒との別れを惜しんで号泣する教師って………なんて思ったけど、今日で菊りんのノイズ声を聞かなくなると思うと、やっぱり寂しくもなる。
こんなに不快な声なのにね。
菊りんだけじゃない。
ダサいくらい、3年3組は誰もが泣き笑い。
切なさと寂しさに満ちた教室。
ホームルーム後、クラスメート達の声を背に、あたしはカバンを手にして立ち上がった。
………バイバイ。
あたしの席……。
「エリっ!この後、みんなでカラオケ行こうって話してんだけど行くでしょ?」
「ゴメン、美帆。
あたし、行くとこあるんだ。」
笑って言ったあたし。
美帆は残念そうな表情をしてから、でも何かに感づいたようだった。
「そっか。頑張ってねっ!!」
「うん。」