込み上げる思いの中、
「蒼井さん。」
と、あたしに声をかけたのはチビだった。
驚きと戸惑い。
「な、に?」
チビは、あたしと目を合わせずに俯いて言った。
「……写真…撮らない?」
「へっ?」
「っだから!写真…撮らない?」
「あ、あぁ!うん。」
この1年、ずーっと気まずいまま過ごしてきたあたしとチビ。
そのチビからの申し出はあまりに意外すぎて、あたしはまだ戸惑っていた。
何とも微妙な空気とぎこちない距離感を挟んで、チビと写真を撮った。
チビが口を開く。
「あ、のさ…。」
「うん……。」
「…その、何か、色々ゴメン。」
「えっ!?あ、いや………あたしも、何かゴメン。」
あたしがそう言うと、チビはあたしに背を向けて言った。
「それから!お疲れさま!」
「へっ?」
「っ学級委員!!……1年間、お疲れさまっ!!」
「……あ…ありがとう…。」
チビは一度も振り返らないで、自分の親しい友達の輪の中へ戻っていく。
なんだかチビの態度が可笑しくて、まるで告白でもされたような気分になる。
あたしは一人、くすっと笑った。
まさか、チビからあんな事を言われるなんて。
あたしの心に、温かい気持ちが広がっていった。