真心込めたメシはウマい、以前のフジコさんの言葉通りケーキはとても美味しかった。
懐かしさを感じる、
すんなりと馴染む甘さ。
フジコさんは、まるで魔法使いみたいだ。
秋から冬へ、冬から春へ。
時間は、確かに過ぎていく。
カウンター席で、フジコさんが入れてくれたコーヒーを飲む。
丸みを帯びた白いマグカップ、角砂糖は一つ。
「太一は?」
「奥でテレビ見てるよ。
何とかっていうアニメだってさ。」
……何とかっていうアニメ…。
その言い方が、いかにもフジコさんらしくて可笑しかった。
「無事に合格できて、良かったねぇ。」
「はい。」
フジコさんは、煙草に火をつけた。
フジコさんの煙草は“軽めの7”だ。