喫茶店『ジロー』の扉を開けた瞬間、パァン、と何かが爆発したような音が響いた。
驚いたあたしは、ただ呆気に取られている。
そんなあたしに、駆け寄ってきた太一は満面の笑顔で言った。
「サプライズ大成功!」
その手にはクラッカーが握られていて、
奥からフジコさんが大きなケーキを持って現れた。
「ほら、そんなとこに突っ立ってないで、とっとと座んな。」
「あの……。」
「大学合格のお祝いだよ。」
フジコさんは、テーブルにケーキを置いた。
イチゴのケーキの真ん中には、ピンクのクリームで“合格おめでとう”とシンプルに書いてある。