「エリーも、メール読んでもらった事あるんだ?」
「………まぁ…。」
「うっわぁ!
何か、すっげぇ嬉しいわ!って事は、やっぱHALUファン?」
何なの?
勝手に一人でテンション上がって。
そう思いながらも、あたしは黙って頷く。
「だよな!だよな!!」
百瀬は嬉しそうに、あたしの両手を掴んで、それを両手で握った。
「やっぱ、いいよなぁ!
もうHALUの時代は終わった、なんて言う奴いるけどさぁ、この前のアルバムも最高だったし!!」
百瀬の言っている事は分かる。
90年代後半、絶対的な人気だった歌姫・HALUは今じゃブームが終わったなんて言われるけど、そんな事はないとあたしも思っている。
でも、これは一体なに?
何で、あたしは百瀬に手を握られて固まらなきゃならないの!?
「やっぱりHALUの良さは、分かる奴には分かるんだよなぁ!」
百瀬は笑った。
さっきから、ずっとあたしはコイツにペースを乱されてる気がする。
壇上で教頭のヅラ剥ぎ取ってウケた、なんて浮かれてるような奴に!
腹が立つ。
あたしは握られていた手を払って、掃除を続けた。