「モモ。」
「ん?」
「デートして。」
「デート?」
「そう。」
………あたしの答えを、モモはどう思うだろうか。
「日曜日に、遊園地で待ってる。」
もう迷わないと決めた。
だから、はっきりと言った。
あたしの携帯電話でピンクのストラップ、モモの携帯電話でブルーのストラップが揺れている。
「約束したでしょう?
あの観覧車に乗ろう。」
「“星空観覧車”?」
「うん。」
「分かった。……俺も、エリーに話があるんだ。」
「話?」
……何だろう。
「その時に、話すよ。」
優しすぎるモモの声が、胸を締めつける。
迷わない。
揺るがない。
挫けない。
茜色に染まる教室の中で、あたしはモモの後ろ姿をいつまでも見つめていた。