モモと一緒に帰っていた、夕暮れの帰り道。
アスファルトの道路がオレンジ色に染まっていた。
モモの自転車の後ろで、見上げていた空をあたしは今、一人見上げている。
夕方は、嫌いだ。
途方もなく、寂しくなる。
いつもの帰り道を外れて、あたしは歩きだした。
最近、放課後は、あの奇妙な喫茶店に入り浸っている。
駅近くの古びた小さな喫茶店『ジロー』。
カラフルなアロハシャツを好んで着ているフジコさんと、子供らしくない小学3年生・太一がいる。
店内で流れている聞いた事もなかった歌謡曲を、あたしは、もうすっかり覚えてしまった。