瞬間、逃げだしたい、という思いが頭を過ったものの、あたしは一歩踏み出した。 階段を下りるあたしと、上ってくるモモ。 擦れ違う時に、モモはあたしを見つめたけど、あたしは目を合わせられなかった。 モモの顔を見れない。 今のあたしに、そんな事できるわけがない。 モモが好き。 でも、好きだけじゃダメなんだよ。 あたしが、あたしの答えを自分で見つけない限り、モモと一緒にはいられない。 ほろ苦い痛みが胸に広がる。 ざわざわと落ち着かない心。 下駄箱まで辿り着いて、あたしはやっと一息ついた。