太陽の光を浴びて、キラキラと輝く水面。
体育の授業がなかった今日、学校指定の濃紺のジャージを持ってきているはずもないのだ。
仕方なく、セーラー服のまま放課後のプールへやって来た。
屋外のプールはフェンスに囲まれていて、降り注ぐ太陽にあたしの苛立ちは増していく。
黒いハイソックスを脱いで、ほんの1週間前に栗色に染めたばかりの髪を後ろで一つに束ねた。
しかし、あたしはプールに来て早々唖然としている。
なぜ……アイツがいるんだろう。
プールの縁に腰かけて、裸足でプールの水をバシャバシャとしているアイツ………。
その横に放り出されたデッキブラシ。
アイツは………
全校集会で教頭のヅラを奪取したバカじゃない!!
呆然と立ち尽くすあたしに気づいたバカな男子は、水遊びをしていた足を止めた。
まじまじと見つめられて、先に目を逸らしたのはあたしだった。
「……3組の蒼井さん?」
「…そうだけど……。」
男子は、なぜか楽しそうに立ち上がって駆け寄ってくる。