店主は手早くナポリタンを作ると、テーブルへ運んできた。
「はい。冷めないうちに食っちまいな。」
「あっ。ありがとうございます。」
フォークを手にしてから、今の“ありがとうございます”は可笑しい気がした。
何で、あたしがお礼なんか言ってんの?
店主は、厨房の中で椅子に腰かけて新聞を広げた。
何だか気まずくて、とっとと食べて帰ろうと思い、くるくるとフォークに巻いたナポリタンを口に入れた。
その瞬間、電流のような衝撃が身体中を駆け抜けた。
「……美味しい。」
思わず、言葉にしてしまってあたしは、はっとする。
そんなあたしに、店主は声を上げて笑って、
「そうかい、そうかい。」
と言った。
……うっわ!恥ずかしっ!!
穴があったら全力で潜り込みたい!!