店主は水と氷が入ったグラスを運んできて、素っ気なくテーブルに置く。
「何にすんだい?」
「あ、メニューは?」
「んなもん、ないよ。
決めてないんなら、ナポリタンにしな。」
「えっ、あ……はい…。」
なんて運が悪いんだろう。
こんな訳の分からない喫茶店に入って………どうかしていたのかもしれない。
カウンター席の向こう、ここから見える厨房の店主の後ろ姿をちらりと見る。
髪は後ろで一つに束ねてあるようで、黒髪と白髪が半々くらいに混ざった馬のしっぽのような灰色の髪。
赤いエプロンとアロハシャツ。
色々な意味で突っ込みどころ満載だと思った。