「実は、ある事務所の養成スクールに合格したんだ。花波には、行くべきか相談してた。」



モモは、言葉を続ける。



「俺が迷ってた理由は、エリーと離れる事になるから………だから迷ってた。」


「……離れる?」


「向こうに行ったら、きっと、てめぇでメシ食ってくのがやっとだと思う。
……俺は、エリーに強制なんかしたくないんだ。だから………。」


「………ついてこいって言ってくれないの?」




そう言ったあたしを、モモはやっぱり悲しい目で見つめる。



「何の保証もない。どうなるかも分からない。
………苦労するって目に見えてるのに、俺はそんな事エリーに言えない。」


「…………。」


「……芸人っていう夢を、俺にくれたのはエリーだから。俺は大切にしたい。

でも、これは全部、俺のワガママだから
……遠距離で頑張ろう、とか…待っててくれ、なんて言う資格ないと思ってる。エリーが決めるべきだって思った。」


「………あたしが、別れたいって言ったら別れるって事?」


「…………あぁ。」


「ッ!」





その瞬間、あたしはモモの頬に平手打ちをした。