風が、秋の匂いを連れてくる。
それでも、真夏の暑さは残っていた。
地球が太陽で溶かされでもして何もかもなくなってしまえばいい、
あたしはどこか遠くでそんな事を思っている。
モモと、ケンカをしたわけでもなければ、別れたわけでもない。
周囲から見れば、あたし達はうまくいっているように見えただろうし、バカップルだと思っている者もいるだろう。
実際、あたし達はうまくいっている。
けれど、あの日からあたしの心に小さな穴が開いてしまっているのも事実だった。
でも、あたしは、それを口にするなんてしない。
ウザいとか、重いとか、思われるのは絶対に嫌だ。
全部、見なかった事にしたらいい。
何も、気にしなければいい。
それが、あたしの出した結論だった。
あたしとモモは、付き合っている。
それで、いいじゃない。