放課後の職員室、


菊りんのネクタイはカエルを散りばめた救いようのない柄で、やっぱり微妙にサイズが合っていない。

ネクタイだけが、今日も不自然にデカイ。




そして、あたしは本日も、捕えられた珍獣であるかのような気分を味わっていた。






溜め息交じりに菊りんが口を開く。



「蒼井〜。いい加減、進路決めてないの、お前だけだぞ。
何をやるにしたって準備ってもんが必要なんだから。」





文化祭のミーティングと、菊りんによる個人面談で、最近のあたしの放課後は潰されている。



……まぁ、進路が曖昧な自分が悪いんだけどさ…。








どちらかが遅くなっても一緒に帰る、というのが何となくあたしとモモの決まり事のようになっていた。




しかし、どちらかが、といっても大概はあたしがミーティングやら、個人面談やらでモモを待たせてしまっている。