かぁっと、頭に血が上った。
あたしは振り返って、手にしていたコーヒー牛乳をチビにぶちまけた。
騒々しかった教室は、一瞬で静まり返った。
チビの髪も顔もセーラー服も、コーヒー牛乳で濡れている。
「何すんだよっ!!!」
チビは、すごい勢いで掴みかかってきた。
机やロッカーにぶつかって、誰かに止められたり、冷やかす声が遠くで聞こえたり。
とにかく、無我夢中だった。
冷静さなんて、もう欠片も残ってない。
チビと取っ組み合いのケンカをしながら、自分が何を言っているのかもよく分からない。
平手打ちをすれば、平手打ちが返ってくる。
でも、痛みなんかより、激しい怒りとなぜだか泣いてしまいたい気持ちの方がずっと強かった。
いつのまにか、制服の赤いリボンがするりと落ちていた事にも気づかなかった。