すっげぇ!、という嬉しそうな男の子の声がした。
モモは、トンボを捕まえたらしく得意気に笑う。
頬杖をついて、それを見つめていたあたしは思わず笑ってしまう。
なんか、いいなぁって思った。
なんか、いいなぁって。
モモは、男の子を連れて戻ってくる。
モモよりも早く駆け寄ってきた男の子は言った。
「モモ兄ちゃんの女?」
………女って……。
あたしは苦笑する。
「黙れ、マセガキ!」
モモに突っ込まれて、でも男の子は楽しそうだ。
「俺、もう帰るから!
モモ兄ちゃんもイチャついてないで、さっさと帰れよー!」
男の子は、手を振って走っていく。
その身長からして、あの虫とり網は持ちづらそうだ。