「…蒼井さん…ごめん……。」
「え?」
夏休みが終わって、それでも暑さ厳しい9月。
この時期、どこのクラスも10月に行われる文化祭の準備で慌ただしくなる。
あたしにポツリポツリと謝るゴリは、俯いて落ち着きなく目が泳いでいた。
『カレー食堂3―3』の看板を書いていたゴリ。
しかし、“3―3”ではなく“3の3”なのだ。
クラスの女子の冷ややかな視線を浴びるゴリ。
……なんだ…そんな事か。
あたしは、冷静に言った。
「…背景と同じ色で一度塗り潰してから、書き直せば大丈夫でしょ。」
ゴリは、安心したようで、ぶつぶつと独り言を言いながら作業に戻る。