視界の片隅にチビを映しながら、ゴリの姿も目に入ってさらにイライラする。
図体ばかりデカイくせにオドオドしていて、自分の周りになんて誰もいないのにぼそぼそと独り言。
いわゆる“ゴリのつぶやき”だ。
完全にイっちゃってるゴリは、チューブから絵の具を食す。
自分がクラスで浮いている事にさえ、気づいていない。
「あっ、立花くん。」
美帆は大好きな彼氏が来て、満開の花のような笑顔を見せた。
早々に弁当を片付けはじめる。
美帆も、美帆だ。
この男のどこがいいんだろう。
あたしには、さっぱり分からない。
背が高いだけで、変に女子の扱い方が上手い。
まるで、ホストだ。
あたしが、立花くんを心の中で“ホスト”と呼んでバカにしている事を、美帆は勿論知らない。