走るヒメの後ろ姿を視線の先に見つけて、俺は声を張り上げた。
「ヒメーー!!!」
しかし、ヒメは無視して走り続ける。
クソ!!
全速力で追いかける。
徐々に距離が縮まって、俺はヒメの細い腕を掴んだ。
息があがったまま、捕らえたヒメの横顔は今にも泣きだしそうな表情。
「…もう、いいなんて言うなよ……。」
「…………。」
「嫌いとか、言うなよ。俺、ヒメに嫌われたら生きてけない。」
「…………。」
「大体、らしくないよ。いきなり出てけ、なんてヒメらしくない。
「………もん…。」
「ん?」
「……だって、邪魔なんだもん!!」
ヒメは大声を上げて、俺は唖然としてしまった。