その日、仕事が終わった帰り道で俺は再び悪夢と出会ってしまった。 自転車が置いてある駅の駐輪場へ向かう俺の足を、一人の女が止めた。 「あの……。」 「へっ?」 マッシュルームみたいな髪型の、金髪の若い女は俯き加減で俺を呼び止めた。 「…して……さい……。」 「はい?」 「……返して…。」 「……え?」 「返してください……。」 返すって……何を? 俺が戸惑っていると、女はバッグの中からとんでもない物を出して俺に向けた。