小さな溜め息をついた時、ふらふらと車内を歩く女子高生が目に入った。
ブレザーの制服姿、長い黒髪。
俯きながら不自然にふらふらと歩いて、こちらへ向かってくる。
車両には、俺と彼女しかいない。
突如、現れた不審な女子高生。
なんとなく関わりたくないと思い、俺は視線を逸らした。
時々、変な奴がいるんだよなぁ……電車って。
そんな事を思っていると、女子高生はすとんと俺の隣に座った。
……なんでこんな腐るほど空いてんのに隣座んの?
俺の嫌な予感が現実味を帯びて募ってくる。
…マジでアブナイ子?
恐る恐る彼女の方を見て、俺は息を呑んだ。
整った顔立ちに大きな瞳。
どこかのアイドルかと思うほど可愛い。
くりっとした大きな瞳がどことなく潤んで、俺を見つめている。