電車が加速し始める。

あっという間に電車はふたりを追い抜いていった。

地面に吸い込まれるようにその場にしゃがみこんだ。

涙を我慢していたせいで、呼吸がおかしい。

息がうまくできない。
雪の上に涙がぽたぽたと落ちた。



……大丈夫。
最後まで悠太に泣き顔は見られてない。
ちゃんと笑顔で見送れたはずだ。



走り去ってゆく電車の後ろ姿が涙でぼやける。


「辛くなっても戻ってくんなよなー!!!!」



叫んだ陸の声が2月の冬空に大きく響き渡った。