陸を睨みつけたが、仕方なくおずおずと口を開く。


「寝て……まし……た……」


気まずい! 

絶対に前途多難だと思われる!


上目遣いで悠太をチラッと見ると「何やってんだよ」とケラケラと笑っていた。

ひとしきり笑ったあと、悠太が少し意地悪そうに「お前ら、俺が居なくて大丈夫か?」と尋ねた。

「大丈夫!!」


「大丈夫だ!!」


まるで決められていた台詞かの様に、ふたり同時に叫んだ。

あまりに大きい声だったので、細い悠太の目がまんまるになった。

「陸とふたりでも大丈夫だよ! 仲良くするし! ……あ、いや……毎日は無理かもしんないけど……じゃなくて……」


あぁ! 違う、違う。

こんな事が言いたいんじゃない!

ちゃんと言わないと後悔する。

それでも肝心なことを言おうとすると、喉に何かがつっかえた。

喉の奥が熱い。

どうしよう……
「あの……えっと……」


その時、陸が背中をぽんと叩いた。

暖かいその手が、私の背中を押す。

息を吸い込み、目を固く瞑ると、握った手に力をこめた。


「ごめんね! ありがとう! おめでとう!」


一息に言い切った。
悠太がきょとんとした表情になる。