「悠太―っ!」


陸が、叫びながらドアを勢い良く開いた。

あまりに勢い良く開けたので衝撃で屋根の雪が少し落ちてきた。


「陸!志津!」


驚いた悠太がヘッドフォンを外し、ベンチから立ち上がる。

私たちは息も切れ切れに、悠太に駆け寄った。


「良かった……間に合った……」


呼吸を整えながら呟くと改めて駅を見回す。


「何で……誰も居ないの?」


「え? あぁ。見送りとか苦手だから……父さん達とは家で別れてきたんだ。先生にも皆で見送りとかは勘弁してって頼んだんだ……けど……」


悠太は私たちの格好を見て、眉をひそめた。

無理もない。

陸はトレーニングウエアだし、私はジーンズにパーカーという休日のような格好だ。


「お前ら学校は……?」


「あ……いや……その……」


陸が助けを求めるように、こちらをチラッと見た。
え!? こっち見るなよ!