ふかふかの新雪に陸が足を踏み入れる。

ずぼっと膝まで雪に埋まり、陸が「ひぃー」と小さく悲鳴を上げた。

その声を聞いてハッと思い出す。


「あ!陸スニーカーの下、裸足でしょ?!」


靴の隙間から雪が入ってきて、冷たいに決まってる。


「そんなこと……大した問題じゃない!」


気合を入れるように叫ぶと、陸が雪道に突入した。

雪に足を取られて転びそうになりながら、陸が道を拓いてくれる。


「時間ないのに……あぁ!雪うぜぇ!」


文句を言いながらも陸は足元の雪を強く踏みしめて道を作る。

志津はその道を歩く。


何だか自分ばっかり楽していて申し訳ない気持ちになる。


「先頭、交代しようか?」


おずおずと提案すると、陸に一蹴された。


「志津にそんな事心配させるほど俺はヘタレじゃねぇぞ!!」


相当癇に障ったのか、陸のスピードが速まる。

こんなに頑張ってる男の子らしい陸を見たのは初めてだ。

陸の後姿に不覚にも感動した。

大丈夫。悠太が居なくてもきっと大丈夫だ。