外の景色に目を疑う。

一面、銀世界だったからだ。

雪が太陽に反射してダイヤモンドみたいにチカチカ輝いている。


「ま……まぶしぃ……」


鼻の奥がむずむずして光から逃げるように目を瞑った。

昨日の夜は、今年に入ってから一番の大雪だったらしい。

雪が膝まで積もっていた。


「くそ。昨日の夜に降りやがったな」


陸は吐き捨てるように呟くと、まだ雪かきもしていないまっさらな雪に飛び込んだ。


「無茶苦茶でしょ!!」


志津もその後に続く。


「おいおいおい!! 陸!!」


雪かきをしていたラーメン屋のおじさんが後ろから叫ぶ。


「そっちはまだ雪かきしてないぞ!!」


おじさんの声に陸の動きが止まる。


「でも、この道じゃなきゃ……」


多分、電車の発車時刻には間に合わない。

別の道だと遠回りになってしまう。


「俺に任せとけ」


陸がまっさらな雪を睨み付けながら頷いた。


現在時刻、10時52分。


この道じゃなきゃ悠太には絶対に会えない。


「よっし!! 行くぞ志津!!」


意を決した陸が真っ青な空に向けて拳を突き上げた。


「おう!」


合点承知とばかりに志津も拳を突き上げてみせた。