叫ぶや否や、ふたりとも放り投げてあったマフラーを掴んだ。

大慌てで階段を駆け下りる。


「起こしてよ!!」


「それはこっちのセリフだ!」


陸が階段を一気に飛び降りる。

古い志津の家の階段は悲鳴をあげるようにぎしぎし鳴った。


「はい……はい……あ、配線なんですが……」


階段のすぐ下で電話をしていた兄が目を見開いて叫ぶ。


「うおっ、陸!? 何してん!?」


「壱くん、おはよう!あと、お邪魔しましたー!」


「え!? いつからいたの!?」


兄の戸惑った声が聞こえてくる。


「ちょっと、行ってくるね!」


「どこに!?」


ふたりは説明もせずに玄関へ向かうと、靴を履いて一目散に外に飛び出た。