陸が元気な声を装う。


「親友なら応援してやらねぇとな!!」


「……うん、私も悠太にありがとうとおめでとうって、ちゃんと伝えたい」


志津は服の袖で涙を拭きながら一生懸命頷いた。


「お前の場合は“ごめんなさい”もだな」


「分かってるよ」


頬を膨らませる。


「大丈夫だよ、悠太は。多分ずっとあのまんまだから」


「え?」


「有名になっても、表彰されるような奴になったとしても、変わらない。悠太は悠太のまんまだ! 心配すんな」


陸が私の背中を力一杯叩いた。



――本当に知ってた。



陸は私の不安まで分かっていたんだ。

周りが見えていなかったのは結局自分だけだったんだと思い知る。


「そうだね」


「明日は笑顔で悠太を見送るぞ」


「……うん」


笑顔でおめでとうって言ってあげたい。

いつも悠太には笑顔を貰ってた。ちゃんと返してあげたい。

志津は深く頷いた。


「でも……」


陸の涙声が聞こえた。


「やっぱ寂しいもんは寂しいわー!」


鼻を真っ赤にした陸がまた泣いてた。


「だっさー!! 泣き虫ー!!」


私たちは泣いた。
高校生にもなって声を出して泣いた。

わんわん泣いた。


悠太、ごめん……。

こんなダメなふたりでごめん。