今日も朝からやたらと暑い。

裏山のセミ達が、
この夏に生きた証を
残そうと必死に鳴いている。
 
 
「よーっし!」
 
 
学校へと長く続く、
大きく曲がりくねった石段を
見上げて、私は気合を入れた。
 
 
そうでもしないと眩暈がしてくる。

「気合い入ってますねぇ、志津さん」
 
 
横に並んだ陸が制服の
ズボンの裾をスネまで折り上げた。
 
私も履いていた紺色の
ハイソックスを脱ぐと、
使いすぎてボロボロになった
スクールバッグに押し込む。
 
ローファーのかかとを踏み潰すと、
裸足にぺとっとくっついた。