「陸……頼みがあるんだけど……」
 

そう切り出すと、悠太が正座をした。
 

「な、何だよ、正座なんかして!お別れのご挨拶か?!そういうつもりなら俺だって……」
 

俺もベッドの上に正座する。

しかし悠太は、無言のまま床の一点を見つめていた。

長い沈黙が流れる。
 


何だよ。この空気……!

 
沈黙に耐え切れなくなって言葉を探し始めたとき
突然、悠太が叫んだ。


 

「俺、志津が好きなんだ!!!」

  


心臓も目玉も飛び出る。
 

「……はぁ?!」
 
 

「頼みがある。2年後、プロのサッカー選手になって、絶対に志津を迎えに来るから。好きって伝えるから。それまで誰も志津に手出さないように、見張ってて欲しい!!」

 

「頼む、陸!」
 
 

悠太が手を合わせた。


胃が重い。