浦添陸、28歳。


今、俺は人生最大の緊張の瞬間を迎えようとしている。


床に置いた固定電話。

その前で正座すること1時間43分。


そろそろ足も痺れてきた。


時刻もいよいよ深夜3時目前。


あっちも仕事が終わる頃かも知れない。

 
 
かけるなら今だ。
  
 

震える手で何度も電話番号を押すが、最後の番号、“3”が押せない。
 
 

「あー!!」
 
 

頭を抱えこむ。
 
 
結局やっぱり俺はヘタレだ!
 
 

ガキの頃から何も変わっちゃいない。