悠太は確認するように手のひらを開いて笑った。

長い指が恐いほどに白い。


「陸と志津に買った土産を持って、空港へ向かうバスに乗ったんだ」


その時の気持ちを思い出したのか悠太が微笑む。

「1年半ぶりの日本だ。会ったら何話そうかなとか、一緒にばあちゃんの駄菓子屋でアイス食べてぇなとか。そんなことばっかり考えて、わくわくしながらバスの窓から白い雲を眺めてた」


ロンドンの空を思い出すように、悠太が空を見上げた。


「そしたら、突然体に重い衝撃が走ったんだ。まじで一瞬の出来事だったよ。最後に聞こえた誰かが甲高く叫ぶ声が、今も耳から離れない」


ニュースで見たバスの無残な姿を思い出す。


「何が起きたのかも分からないまま、目の前が真っ暗になって……気付いたらここに居た」


話の展開に頭がついていけない。


「ちょっと待って。ここ……って裏山に?」


私が確かめるように尋ねると、目は合わせないで悠太が小さく頷いた。