『蛍はね……この地方では死んだ人の魂と言われてるのよ』

『しんだひと?』

『そう……お盆には死んだ人が蛍になってこの世に帰ってくるんだよ』



「蛍……」



もしかして――。


「ばあちゃん!! お盆っていつまで!?」


「16日だよ」


レジの横に掛けられた白いシンプルなカレンダーを見た。


黒で書かれた“16”の2文字。



ふたりの声が静まり返った店内に響き渡る。



「……今日だ!!!!」