「どうして……分かるの?」


「まだふたりに何も伝えてないだろう?それに……」


ばあちゃんがテレビの電源ボタンを押す。

ブチッと音を立てると店内を静寂が支配した。



「今はお盆だよ」



振り向いたばあちゃんの顔が笑っていた。



その笑顔の意味が飲み込めなくて戸惑っていると、陸が思い出したように呟いた。


「死んだ人が……帰ってくる時……」


「帰って……来る……時?」


復唱した陸の言葉の意味に気付き、はっとする。

体中に衝撃が走った。

あの日、ばあちゃんが初めて蛍を見せてくれた日……。



ばあちゃんが教えてくれた。

頭の中に掛かっていた霧が、消えていく。