「……気付いたんだね」


「――え」


ばあちゃんが、重たい腰を上げる。

振り向いたばあちゃんは、前よりも小さくなったみたいだった。


「なんで悠太なんだろうね。まだ17なのに……」


壁に掛けられた古いくじの景品を触りながら、ばあちゃんが呟いた。

私たちとは目を合わせようとしない。

「ばあちゃん……」

ばあちゃんはしわだらけの震える手を、拝むようにして合わせた。

「毎日お祈りしてたんだよ……悠太が外国で無事に過ごせるように……陸と志津が元気で過ごせるように……」




ばあちゃん……。
そんなことしてくれてたの、知らなかった。