「――志津っ」


「陸……」


息を弾ませた陸が走ってきた。

私を追いかけてきたらしい。

少しやつれた顔で、無理やり笑顔を作って話しかけてくる。


「飯……食ってないんだって?」


「……」


「皆……心配してんぞ」


「……」


いつになく優しい口調が今の私には腹立たしかった。

どんなに優しく話しかけたって陸は悠太とは違う……。


やめてよ……。


「まぁ、お前の場合、多少痩せた方がいいかもしれんけどな!」


「……帰る」


「あ!! いや、ちょ、待てっ」


慌てた陸は両手を大きく私の前に突き出して制止した。

そしてゆっくり話し出した。



「俺、思い出したんだけど……」