階段を駆け下り、サンダルを突っかけて外に出ると、お兄ちゃんと陸が店先で話していた。


「え。志津?」


あっけに取られた表情の陸と視線がぶつかる。


私を見て驚いたお兄ちゃんが、
「お、おいっ!!」
と叫んだ。


呼ばれたのも、目が合ったのも無視して、逆方向へ走り出す。


お兄ちゃんのデカいサンダルはガポガポと鳴って、ひどく走りにくい。


「早く出さなきゃ……」



まだ間に合うかもしれない。

間に合うかもしれない……。