ゆっくりと目を開けて、手に持った手紙を見る。

心臓が激しく脈打った。




――赤と青と白のふちのエアメール。


“Sidu yamaoka”
の、汚い字……。





――『志津には日にち書いた手紙出したんだけど、まだ届いてなかったみたいだな』

――『ロンドンの郵便局、怠慢過ぎるよ』






「……なんで……今、届くの」



どうして……今届くの……。

震える手で封筒を破り、中から手紙を引っ張り出した。

ノートの切れ端。

封筒の中に詰め込まれた空気。


……悠太の吸っていた、ロンドンの空気。

悠太からの最後の手紙だ……。

汚い字、やっぱり短い文章。



「最期くらい……長い手紙書いてよ……」