「元気だよ！この間もね……」


弘人の最高に笑えるドジ話をしようと振り向くと悠太が悲しそうに笑う。


「弘人に元気で頑張れって伝えて」


「へ？何で？」


「じゃあな」と悠太が言った。


「え？」


悠太の言っている意味が分からず困惑する。


「志津ーっっ!!」


顔が歪むほどスピードを出して弘人が突っ込んできた。

自転車の錆び付いたブレーキが甲高く鳴り響く。


「弘人慌てすぎだよ！ねえ見て、悠……」


悠太が帰ってきたんだよ。

そう言おうと弘人を見ると、顔が真っ青だった。

悠太には一瞥もくれずに詰め寄ってくる。


「お前っ、こんな所で何してんだよ!!!!」


開口一番、弘人が怒鳴った。

普段へらへら笑ってて怒鳴ることのない弘人に怒鳴られて鳥肌が立つ。